Wi-Fi誕生の歴史

Wi-Fiは商標登録された名称で、無線LANの中の一つのブランドです。企業がWi-Fi CERTIFIED™のロゴを使用するためには、米国テキサス州に拠点を構える業界団体「Wi-Fi Alliance」の策定するWi-Fi認証を取得する必要があります。

Wi-Fi登場までの経緯

1997年、IEEE(米国電子学会)、802委員会(LANやMANの標準化を担う組織)が、無線LANの方式を統一するために「IEEE802.11」を策定。2.4GHzのISMバンド(Industry Science and Medical band)を利用して最大2Mbpsの通信を可能とした。

1998年、「IEEE802.11」に対応した商品を各社が発売。当時の無線LAN端末の代金は10万円、アクセスポイントの設置費用は数十万円と高額で、通信速度も遅かったため日本で普及するには至らなかった。

1999年、無線LANの普及促進団体「WECA(Wireless Ethernet Compatibility Alliance)」が結成される。「WECA」は「Wi-Fi Alliance(ワイファイアライアンス)」の前身団体であり、今のシスコシステムズ、ノキア、ヒューレットパッカードなどが参画。

1999年7月21日、米アップルコンピューター(現アップル)が、無線LAN製品「Airport(日本での名称はAirMac)」の発売を開始。後に策定される「IEEE802.11b」対応だったこと、常識を覆す低価格設定だったことで市場関係者はざわついた。(無線LANカード12,800円、アクセスポイント37,800円)

1999年10月、「IEEE802.11a」が策定される。5GHz帯で54Mbpsの高速通信を可能としました。「IEEE802.11a」では電装方式LTEの基となっているOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)方式を採用した最新の規格だったため、技術的に対応が難しく、対応製品の発売までに3年の歳月を費やした。

1999年10月、「IEEE802.11b」が策定される。「IEEE802.11」が採用していたDSSS(Direct Sequence Spread Spectrum:直接スペクトラム拡散)方式にCCK(Complementary Code Keying:相補型符号変調)方式という技術を付与することで11Mbpsでの通信を実現した。

2000年、メルコ(現バッファロー)が、Windowsパソコンで使える「IEEE802.11b」対応の無線LAN製品を発売。(無線LANカード26,800円、アクセスポイント54,800円)

2000年3月、「WECA」が無線LANメーカー間の相互接続認定業務を開始。この認定を受けた機器には「WiFi CERTIFIELD」のロゴを使用することが認められた。これが事実上のWi-Fi誕生となります。

Wi-Fiは何の略?

Wi-Fiの語源は、高音質オーディオの代名詞であるHi-Fi(High Friday)に由来し、高品質な無線システム(Wireless Fidelity)を意味しています。本来、Wi-Fiは無線LANの中のひとつのブランドですが、競合商品がないため無線LAN=Wi-Fiという認識を持った人々から一般名詞のように使われています。

Wi-Fiのように商標が一般名詞のように使われている事例は他にも、「セロテープ(ニチバンの商標)」「亀の子束子(亀の子束子西尾商店の商標)」「バンドエイド(ジョンソン&ジョンソンの商標)」「宅急便(ヤマトホールディングスの商標)」などがある。

2002年10月、「WECA」は「Wi-Fi Alliance」へと名称を変更。「Wi-Fi Alliance」のビジョンは 〝 あらゆる場所で、すべての人とモノをつなぐ〟と公式HPに記載されています。文字通り世界中の企業が繋がり、無線LANの規格を統一しているということで、最も成功したデファクトスタンダート組織として評価されています。

2003年6月、「IEEE802.11g」が策定される。「IEEE802.11g」は、「IEEE802.11a」と「IEEE802.11b」のいいとこ取りをした仕様で、2.4GHz帯を用いながら54Mbps通信が可能となっている。

2000年初頭になると、海外ドラマの中でもWi-Fiチップ内臓のノートパソコンやPDA(携帯情報端末)などが登場するようになりました。テロリストとの戦いを描いた人気作品24では、ジャックバウワーがクロエに「Send me the decrypted files over to my PDA.」などと、PDAに重要なデータを送付するよう命令するシーンが頻出しました。

2008年、世界初のスマートフォン「iPhone3G」が発売される。スマホの登場により、音楽・写真・オンラインゲーム等の通信データ量が急激に増え、携帯電話網への不可が激増しました。とりわけ都心部に人口の集中する日本では、データ通信がつながりづらくなる携帯事業者が発生する事態となりました。そこで注目されたのがWi-Fiです。携帯電話事業者は、公衆無線LANサービスのアクセスポイントを増やすことで、スマホのデータトラフィックを直接インターネットに流す作戦を実行。これにより日本国内の公衆無線LANのスポット数は、2013年に1.3万箇所だったのが2014年3月に90万箇所と一気に増えました。

    【参考文献】

  • 無線LANビジネス推進連絡会(2018)「Wi-Fiのすべて:無線LAN白書2018」 リックテレコム
  • WIRED(2013)「WIRED×STEVE JOBS」 コンデナスト・ジャパン